有向点列の収束による位相空間論
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講座の概要
本講座では、有向点列の収束を用いた位相空間論について解説します。有向点列とは、単純に述べれば点列を一般化した概念です。距離空間においては、例えば、集合の閉包、連続性、コンパクト性などは、点列の収束を用いて直感的に表現できました。一般の位相空間において、この距離空間における点列の役割と全く同等の役割を果たすのが、有向点列です。
関数解析においては、セミノルム位相や汎弱位相(例えば各点収束位相や広義一様収束位相、作用素強位相、作用素弱位相)など様々な位相を取り扱いますが、どの位相空間においても通用する一定の収束の議論は、理論を統一的に見通す上で非常に役に立ちます。
位相的性質が点列の収束により十分に表現できる距離空間などは、ある種の可算性を持っています。位相空間がどの可算性を持てば、位相的性質を点列によって表現できるのかについてもお話します。
また、有向点列の収束の概念は、直積位相を非常に簡明に特徴付け、チコノフの定理(コンパクト空間の任意の直積はコンパクト)などある種の命題の証明をほとんど自明化してしまいます。この様な内容についてもお話します。
チコノフの定理は例えばハール測度の存在証明など、関数解析の基本定理の証明で使います。
受講にあたって
必要な知識
集合と写像の基本的な取り扱いに慣れていることが望ましいです。
また授業中、適宜補足しますが、位相空間の開集合、閉集合、連続、(点列)コンパクトなどの定義について知っていることが望ましいです。
カリキュラム
1. ツォルンの補題と普遍部分有向点列の存在
点列、部分列の一般化としての有向点列、部分有向点列について紹介します。そして選択公理と同値な命題であるツォルンの補題を使って、任意の有向点列が非常に性質の良い部分有向点列(普遍部分有向点列)を持つことを証明します。これは、第二回で「コンパクトであることは任意の有向点列が収束する部分有向点列を持つことと同値」と言う命題(点列コンパクト性と類似)を示すために、決定的に効いてくる重要な命題です。
2. 有向点列の収束による位相空間の諸概念の特徴付け
位相空間における有向点列の収束について紹介します。そして一般の位相空間における閉包、ハウスドルフ性、写像の連続性、コンパクト性、などを有向点列の収束を使って特徴付けます。
例えば、連続であることは収束する有向点列を収束する有向点列に写すことと同値であること、コンパクトであることは任意の有向点列が収束する部分有向点列を持つこと(点列コンパクト性と類似)と同値であることなどを証明します。
3. 位相空間の可算性と点列
第一可算性、第二可算性、リンデレーフ性、可分性など、位相空間の代表的な可算性について紹介します。可算性を持った位相空間においては、閉包、ハウスドルフ性、写像の連続性、コンパクト性などは、点列で特徴付けることができることを示します。特に距離空間や、ユークリッド空間がどの様な可算性を持つかについてお話します。
4. 有向点列の収束による直積位相の特徴付け、チコノフの定理の証明
直積位相を有向点列の収束により直感的に特徴付けます。そしてコンパクト性の有向点列の収束による特徴付けを用いた、チコノフの定理(コンパクト空間の任意の直積はコンパクト)の非常に簡単な証明を紹介します。
名称 | 有向点列の収束による位相空間論 |
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講師 | 片岡佑太 |
日程 | ・日曜クラス :10:00~12:00 * 詳細は下記の開講スケジュールをご参照ください。 |
場所 | Zoomによるオンライン講座となります。 |
受講料 | 19,500円 クレジットカード支払いはこちらのページから。 |
持ち物 | ・筆記用具 ・資料は、講師が作成したものを配布して用います。 |
その他 | ・授業は録画されます。授業終了から2年間オンラインにて見放題となります(ダウンロード不可)。 |
お申込み
※お手数ですが、講座名について『有向点列の収束による位相空間論』を選択のうえ送信をお願いします。
開講スケジュール
日曜日クラス 10:00~12:00 | |
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第1講 | 9月4日 |
第2講 | 9月11日 |
第3講 | 9月18日 |
第4講 | 9月25日 |