
これまでにはない圏論への入り口
本講義は数学者の加藤文元先生による圏論の入門講義です。
圏論を勉強していると、大学で学ぶような数学の例が現れることが多く、非専門家の方のなかには敷居が高いと感じている方も多いのではないでしょうか。
しかし、数学は専門ではないけど圏論を理解してみたいと思いませんか?本講義ではそのような方向けに、これまでにない圏論入門を講義していただきます。
※アーカイブ講座の動画販売についてお申し込み受付中です。
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本講義は数学者の加藤文元先生による圏論の入門講義です。
圏論を勉強していると、大学で学ぶような数学の例が現れることが多く、非専門家の方のなかには敷居が高いと感じている方も多いのではないでしょうか。
しかし、数学は専門ではないけど圏論を理解してみたいと思いませんか?本講義ではそのような方向けに、これまでにない圏論入門を講義していただきます。
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本講座は、圏論をあまり専門的になりすぎない程度に理解したい、とはいえ、その基本的な考え方の本質はじっくり勉強したい、という人向けの「圏論入門」です。
「圏論」は21世紀の現代数学における最重要概念のひとつであるとされていますが、その基本的なアイデアは、単に「モノとモノを矢印でつなぐ」という極めてシンプルなものです。シンプルであるだけでなく、それは驚くほど豊かな構造をもち、数学のみならず、数理科学一般や、さらに広い領域への応用可能性を秘めた強力な概念です。しかし、それは同時にとても抽象的で、初学者にとってはなかなか近寄り難いものでもあります。
「圏論への近寄り難さ」のもうひとつの理由は、あまり身近な例がないことです。圏論は大抵、数学などの数理科学の枠組みで導入されることが多く、その実例もこれらの数理科学における高度な理論を背景にしたものになりがちです。実社会の中でよく目にするような、身近な対象を用いた例を作りにくいのが、圏論を難しくしている大きな原因となっています。
しかし、実社会の中にもさまざまな「圏論的現象」があります。例えば、カツ丼を注文するとき、おそば付きの「Aセット」にするか、ラーメン付きの「Bセット」にするか。Bセットにするなら、むしろ親子丼の方がいいか? となると、親子丼Aセットというのも存在するはずではないか? つまり、「カツ丼Bとカツ丼Aの関係における親子丼Bとの関係にあるべきもの」として(実際にあるかどうはわからない)カツ丼Aが浮かび上がってくる…このような思考を、我々は普段自然にやっています。ここで重要なのは、「親子丼Aと親子丼Bの関係」と「カツ丼Aとカツ丼Bの関係」の間の関係、つまり「関係と関係の間の関係」という、一段階層の上がった「高次の関係」に注目していることです。
また、カツ丼は料理だが、Aセットというのはそれ自体が料理なのではなく、定食的枠組みのようなものであること。そして、そばを引っ込めてラーメンに取り替えれば、AセットからBセットへの(枠組み自体の)変換が得られてしまうこと。このようなことを、ある程度構造化して考えることができれば、あなたはもうすでに圏論的な思考を行なっているのです。
私(加藤文元)は、世界中の人々がみんな圏論の基本的な言葉を使えるようになれば、例えば、職場で仕事上のきめ細かい意思疎通が、より正確に迅速に行えるようになるに違いないと思っています。圏とはモノと矢印のネットワークのようなものだ、とはよく言われますが、重要なのは、圏論の言葉によって「関係性の階層レベルを正確に捉え、モノや関係のきめ細かい役割を明確化できる」ことです(他にもあります)。
モノ自体や、モノとモノとの関係、さらにモノとモノとの関係の間の関係…といった関係性のレベルの違いを明らかにできて、しかもそれによって各々のモノや関係の役割を明確化できれば、人間のコミュニケーション能力は格段に向上するでしょう。圏論は、実は実社会にとても近い学問であるとも言えるのです。
この講座では、圏や関手、自然変換といった圏論の基本的な対象を説明し、その基本的な役割や本質的な側面について検討します。そして、いわゆる「米田の補題」を理解することを最終的な目標に据えます。その際、上述のような我々の「思考パターン」的な例も(そして、もちろん、簡単な数学的例も)交えてじっくり理解することを目指します。この講座の第1期が「最大公約数」という、比較的に簡単な算数の題材を選んでいるのも、このような理由からです。そして、実はそれが圏論のある種の側面を非常によく切り取っているものであることが、次第に明らかなってくるでしょう。
圏という奥深く、数学を飛び越えた多彩な側面と応用例をもつ現代数学の対象について、その本質的な考え方を垣間見ることのできる本講座に、多くの方の受講をお待ちしております。
必要に応じてレジュメを配布
特になし
いろいろなものを「矢印でつなぐ」ことで、モノとモノとの関係や全体の組織の中での役割が見えてきます。まずは数(整数)を整除関係(約数・倍数の関係)でつないでみましょう。こうして得られるネットワークの中で、「最大公約数」はどのような役割を果たしているでしょうか。そしてその「役割」を敷衍すると、我々がよく口にしている「AとBの最大公約数をとる」というたとえ話の構造が見えてきます。ここではさらに「矢印でつなぐ」ということについて、もう少しシステマティックに見ることも考えていきたいと思います。
「矢印でつなぐ」ことをより深く理解すると、「圏」という考え方に自然に導かれます。圏とは矢印とモノだけ(実は矢印だけ)のシンプルな概念ですが、驚くほど豊かな内容をもっています。実際、そこからさまざまな概念を定義したり、いろいろな定理を証明したりできるからです。最初の「定理」は「恒等射」、つまり「なにもしない」とか「自分は自分だ」とかいった感じの矢印に関する定理です。ここでは圏のいくつかの例をじっくり検討・理解して、さらに「同型」の概念にも慣れたいと思います。
矢印が表す「関係」とはモノとモノとをつなぐなにかですが、実は「関係がモノを定める」という不思議な現象が観察されます。それはすでに、「最大公約数的という役割」が「最大公約数というモノ」を定めたときに観察されていた現象です。「最初に関係ありき」が、ここでのキーワードになります。さまざまな例を交えながら、「関係」が「モノ」を定めていく様子を見ていきましょう。そうすることで「普遍性」とか「普遍写像性」とか呼ばれる、圏論特有のロジックが浮かび上がってきます。
圏は、それ自体が、モノたちが矢印でつながりあってできているネットワークのようなものでした。次にすることは、その圏と圏を「矢印でつなぐ」ことです。この矢印は「関手」と呼ばれています。それは矢印のネットワーク自体をつなぐ矢印なので、階層がひとつ上がった「高次の」矢印です。関手を考えることで、より高い視点から構造を見ることができます。言うなれば、関手とは「関係と関係の間の関係」を表現する矢印です。ここでもさまざまな例を通じて、この「高次の関係」にまつわる現象を見ていきましょう。
「関係の関係」を表現するのが関手ならば、さらにもうひとつ上の階層で関係を表す矢印は、いわば「関係の関係の関係」です。それはつまり、関手と関手をつなぐ矢印です。圏論ではこれを「自然変換」と呼んでいます。自然変換は圏論において、もっとも重要な概念だと言っても過言ではありません。実際、圏論の創始者たちにとって、自然変換の概念を導入することが、その主要な目的でした。ここでは入門的な圏論のひとつの終着点である「米田の補題」をじっくり理解することを目標とします。
講座名 | 圏論入門:加藤先生 特別講義シリーズ |
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担当講師 | |
開講スケジュール |
日曜クラス : 10:00-12:00
2024年10月13日~2025年03月30日
2024年10月27日, 11月17日, 12月29日, 2025年01月05日, 02月09日, 03月09日, 03月23日 は休講です。 |
受講方法 |
Zoomによるオンライン講座 授業は録画されます。録画(アーカイブ動画)は授業終了から5年間オンラインにて繰り返しご視聴いただけます。(ダウンロード不可) 詳細はこちらのページをご確認ください。 |
教科書 | 授業ごとにレジュメを配布 |
受講料 |
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お支払い方法 |
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準備物 | なし |
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講座名 | 動画内容 | 講師名 | 受講料 |
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圏論入門:加藤先生 特別講義シリーズ 2024年後期 |
全20回(各120分) | 加藤 文元 | ¥19,500/期(¥97,500/全5期一括払い) |
年度別講座情報
年度 | 講座情報 |
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