最適輸送と機械学習：機械学習の数理シリーズ

「最適輸送問題」とは、例えば工場から店舗に対して最小コストで配送する計画を立てる問題です。この講義では、最適輸送問題そのものについても解説しますが、工場と店舗といった具体的な対象ではなく、抽象化して考えることで機械学習のさまざまな課題を最適輸送問題として捉えることができ、機械学習の手法の幅が広がり、精度向上に繋げられる可能性が出てくることに焦点を当てます。

講義の目標は、最適輸送問題を理解し、そしてそれを統計学や機械学習に応用するアイディアを知的好奇心として楽しむことです。数学が好きだという方も、統計学・機械学習が好きだという方にも関心を持ってもらえるようなトピックだと思います。

はじめに、「最適輸送問題とは何か」ということを、純粋に数学の問題として例を交えながら紹介します。そして最適輸送問題を解くためのアルゴリズムについても解説します。
次に、最適輸送問題に慣れてきたら、統計学・機械学習に応用するためのアイディアや従来の手法との比較を説明します。
最後に、実際の統計学・機械学習の実応用の例として、担当講師が実務で用いた際に便利だった手法を中心に解説します。

一連の流れを通して、最適輸送問題という定式化が機械学習でどのように応用されているのか、具体的にどんな手法があるのかを知ることができます。また、いくつかの手法についてはPython言語で実際に使えるようになります。

線形代数や微分積分の計算、主成分分析などの多変量解析の知識に慣れていると理解がスムーズですが、必要な知識は適宜補足して説明しますのでご安心ください。