
留数定理を目標に複素数の世界を案内する
山本直樹著『複素関数論の基礎』(裳華房)を教科書として使用し、複素関数論の入門的な講義をします。講義の大きな目標は留数定理で、これを用いると複雑そうな積分がとても簡単に美しく計算できるようになります。
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山本直樹著『複素関数論の基礎』(裳華房)を教科書として使用し、複素関数論の入門的な講義をします。講義の大きな目標は留数定理で、これを用いると複雑そうな積分がとても簡単に美しく計算できるようになります。
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様々な場面で登場する,2乗すると-1になる数「\(i\)」.なぜそのような数を導入するのか不思議に思われた方も多いと思います.
この数 \(i\) は虚数とよばれ, また \(a + b i\) の形の数は複素数とよばれます.そして複素数を用いた解析学を複素解析といい,微分積分学を含む解析学の発展に大きく寄与してきた側面があります.
この講義では
$$\int_{-\infty}^{\infty} \frac{1}{1+x^4}dx$$
などの実積分としては難しい積分を,複素解析学における留数定理という便利な定理を用いて計算することを目標にします.
$$\oint_{\gamma} f(z) dz = \mathrm{Res}_{z=a} f(z) = a_{-1}$$
この講座を通して,数学における複素数の重要性を一緒に学んでいきましょう.
授業中も必要に応じて補足しますが,大学初年度レベルの微積分を仮定します.(参考:微分積分 特別講義(加藤文元先生))
ε-N, ε-δ論法は少し登場します.
はじめに複素数を平面上の点として扱う複素平面という考えを導入し,複素数の四則演算が複素平面上ではどのような動きに対応しているかをみていきます.
また,指数関数と三角関数をつなぐオイラーの公式 \( e^{i\theta}=\cos \theta + i\sin \theta \) について考察を深めます.ここで \(e^{i\pi}=-1\) という式の一つの解釈ができるようになります.
高校までの微分積分で扱う関数は実数を入れると実数が返ってくる実関数でしたが,複素解析で扱う関数は複素数を入れると複素数が返ってくる複素関数と呼ばれるものです.
ここでは今まで馴染みのあった \(x^2\) や \(\sin x\),\(e^x\),\(\log x\) といった関数を複素関数に拡張し,数関数としては現れなかった複素関数特有の性質をみていきます.
例えば, \(x\) が実数ならば \(|\sin x| \leq 1\) を満たしますが,\(z\) を複素数とすると \(|\sin z| > 1\)となってしまうことがあります.
ここでは前章で定義した複素関数の微分を定義します.
実関数の微分では定義域側の変位\(Δx→0\)を考えました.複素関数においても変位を考えるという意味で微分の定義は同様ですが,直線的ではなく平面的に近づくという意味で微分可能性はとても厳しい条件となっています.
実は,複素微分可能な関数たちはCauchy-Riemann方程式という関係式によって規定されています.実関数の微分可能性と比べてとても厳しい条件になる複素微分可能性の意味を学びましょう.
複素関数の積分も,実関数のRiemann積分と同じ形式で定義されます.ただし,複素数は平面上の点とみなせるので,複素数αからβの積分といっても無数の経路が考えられます.
ここでは様々な例を通して,経路によらず積分値が一致する関数があることをみていきます.この背後には複素解析全体を支えるCauchyの積分定理の存在があります.
また,複素関数において,微分と積分は実関数のときと比べて密接な関係があり,Cauchyの積分定理を用いることで複素微分可能な関数がとても良い性質を持っていることが分かります.その一例として,一度でも微分できる複素関数は何度でも微分ができるという事実を証明します.これは微分可能であることの条件が強くなっていることに由来するもので,実関数のときにはない驚きの性質です.
微積分で習ったTaylor展開を思い出してみましょう.これは関数を級数で表そうというものでした.そしてTaylor展開の各項の係数は元の関数の微分によって定まっています.
ここでは複素関数の級数展開について考えてみます.実は正の指数の級数展開ができない関数でも,負の指数まで含めた級数に展開できる場合があります.
留数とはこの負の指数まで含めた級数に関する概念で,積分計算を簡単にしてくれます.この講義の最後に留数定理と呼ばれる重要な定理を使って,実積分ではとても大変だった
$$
\int_{-\infty}^{\infty} \frac{1}{1+x^4}
$$
などの積分を計算します.
講座名 | 複素解析入門 |
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担当講師 | |
開講スケジュール |
土曜クラス : 13:00-15:00
2022年4月16日~2022年9月3日
4月30日, 8月13日 土曜日は休講です。 |
受講方法 |
Zoomによるオンライン講座 |
教科書 | 山本直樹著『複素関数論の基礎』(裳華房) ※著作権の関係上、お持ちでない場合は必ずご購入いただくようお願いいたします。著者及び出版社には、教科書として使用する許可を得ておりますが、本講座とは無関係です。 本講座に関しては弊社へのみお問い合わせください。 |
受講料 | 税込19,500円/月 |
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準備物 | 筆記用具、教科書 |
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ー | 本講座は2022年前期のみの開講です。 |
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